腹痛と一口にいっても、胃腸以外の腹痛は様々な部位で起こります。逆にいうと、その痛む部位によって、疑われる病気もあるということです。上腹部痛であれば急性膵炎が疑われますし、みぞおちから下腹部あたりに感じた痛みが右下腹部に移動したならば、急性虫垂炎の疑いがあります。女性ならば、下腹部の痛みは月経痛でなければ、女性特有の器官の病気が疑われます。いずれにしても、胃腸薬を飲んで休養すれば治る類いのものではありませんので、速やかに病院で診察を受けましょう。
膵臓は食べ物を消化・分解する酵素を作る重要な器官です。その膵臓が自身の酵素によって消化されるのが原因で急性膵炎が発症します。急性膵炎の最も多い症状は上腹部の痛みです。その場所はみぞおちから左上腹部で、場合によっては背中にも痛みが広がります。痛みの程度は軽い鈍痛から、我慢できないほどの激痛まで様々で、吐き気、嘔吐、腹部膨満感、食欲不振、発熱などを伴なうこともあります。吐き気は何時間も続くことがあり、吐いても腹痛は治りません。いずれにしても、こういう症状に見舞われたならすぐに病院に行きましょう。
女性の下腹部痛にはそれほど心配ない場合とすぐに病院で受診したほうが良い場合があります。毎月の月経で下腹部の痛みに慣れている女性が多いため、少しくらいの痛みは放置してしまうかもしれません。生理と関係のある時期の痛みは、それが原因と思われますのであまり心配はいらないかもしれませんが、明らかに生理と関係ない時期の痛み、または生理に関係していても痛みが激しい場合に放置するのは危険です。異常な下腹部痛の時には速やかに専門医に診てもらうことをお勧めします。
10代や20代に多い虫垂炎は他の年代の人がかかる可能性も十分にあります。虫垂炎は最初にみぞおちから下腹部のあたりに痛みを感じ、その後、右下腹部へ痛みが移動してきます。激しい痛みとともに嘔吐や下痢、37度くらいの微熱の症状があります。急性虫垂炎の場合は、前触れもなく急に激しい痛みに襲われますが、慢性虫垂炎の場合は、右側のお腹に弱い痛みや鈍い痛みを感じることがある程度で、そのほかの症状も胃が痛いような感じで食欲がなくなったりとあまり特徴がないので、診断が難しい場合があります。
腹痛に梅干が効果があると言われていますが、実際に薬効があるのでしょうか?梅干にはクエン酸などの有機酸、ビタミンA,B1,B2,Cなどのビタミン群、ミネラルなどいろいろな成分が含まれています。それぞれの成分には疲労回復や殺菌などの効果がありますので、腹痛への効果も見込まれます。
女性にとって下腹部痛はよくある種類の痛みですが、毎月の生理に係わる心配のない痛みと他の病気の可能性のある下腹部痛がありますので、見極めることが重要です。特に生理の時期と関係のない激しい下腹部痛の場合は速やかに専門医の受診をお勧めいたします。
子供の急な腹痛は、親でも判断が難しく、過度に慌てすぎても、そのまま様子見していても適切に対応できないことがあります。子供が腹痛を訴えたときには、その様子をよく観察してありのままを医師に伝えることが重要です。腹痛といっても軽いものから重篤な病気までいろいろあるので、その種類を知っておくことも大切です。