急な大人の腹痛への対処法

現役看護師が教える正しい腹痛対処術

急な腹痛の対処法

大人の急な腹痛

大人の急な腹痛

大人の腹痛に係る病気

急な腹痛は胃腸などの消化器の病気だけでなく、心臓や膀胱など他の器官の病気が引き金となって腹痛を起こすケースもあります。痛むところと病気の原因が必ずしも一致しないことがあるので、自分で判断せずに専門の医師に診てもらうことが必要です。それでも痛みの場所と痛みの性質によってある程度原因を推測できます。

場所別に推測される病気

・お腹全体が激しく痛む場合
お腹全体が激しく痛む場合は、腹部大動脈瘤破裂と急性腸間膜動脈血栓症などの可能性があります。腹部大動脈瘤破裂は、腹部の大動脈にできた瘤(こぶ)が破れ出血する病気で、急性腸間膜動脈血栓症は、腸に血液を送る血管が詰まって腸が壊死を起こす病気です。
・みぞおちが痛む上腹部痛の場合
みぞおちが痛む上腹部痛の場合は、急性心筋梗塞、解離性大動脈瘤、胃・十二指腸潰瘍とそのせん孔、急性膵炎、胆石症、急性胃腸炎、初期の虫垂炎などの可能性があります。解離性大動脈瘤は、腹部の大動脈が裂けて痛みますが、お腹全体が痛くなったり、痛みが背中に及ぶこともあります。胃・十二指腸潰瘍や潰瘍が進行して穴が開くせん孔はみぞおちに激しい痛みを感じます。また、胆石症の痛みは脂っぽい食事のあとに起こりやすく、特に右上腹部が刺されるように痛み、背中も痛むことがあります。急性胃腸炎はみぞおちだけでなくお腹全体が痛むこともあります。初期の虫垂炎はみぞおちが痛くなりますが、進行すると痛みは右下腹部に移っていきます。
・へその周辺が痛む中腹部痛の場合
へその周辺が痛む中腹部痛の場合は、腸管軸捻症(腸捻転)の可能性があります。腸管軸捻症は子供の腹痛のページでも説明しましたが、腸がねじれて血行が断たれ、その部分が壊死を起こしてしまうため、緊急手術が必要です。
・へそより下が痛む下腹部痛の場合
へそより下が痛む下腹部痛の場合は、膀胱炎、腎臓・尿管・膀胱の結石の可能性があります。女性の場合はこれに加えて、子宮外妊娠の破裂、卵巣嚢腫茎捻転の疑いもあります。腎臓・尿管・ぼうこうの結石は主に早朝に下腹部が痛みますが、背中や腰も痛むことがあります。卵巣嚢腫茎捻転は卵巣にできた嚢腫が捻れることによって発症します。

大人の腹痛の注意事項

急な腹痛は自然に治ってしまう場合もありますが、我慢できないような激しい腹痛の場合は、上記に挙げたような重い病気の可能性もあるので救急車などで一刻も早く救急医療体制の整った病院へ行き診てもらうことが重要です。特に腹部大動脈瘤の破裂、腸間膜動脈血栓症、解離性大動脈瘤は、命を脅かすことがあるので急を要します。
そのほかの病気でも緊急手術を必要とするケースがありますので、どうしようもない痛みの時には救急車を呼びましょう。救急車が来るまでの応急処置としては、吐いた物がのどに詰まらないように顔を横に向けて寝かせることが肝要です。医師の診断を受けるまで原因がはっきりしないので、おなかを温めたり冷やしたりしないのもポイントです。

急な腹痛の対処法

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