腹痛の部位でわかる怖い病気、急性膵炎

現役看護師が教える正しい腹痛対処術

部位別!腹痛で疑われる病気

上腹部痛で疑われる急性膵炎の症状

上腹部痛で疑われる急性膵炎の症状

急性膵炎とは?

急性膵炎とは様々な原因で膵臓内で活性化した膵酵素が膵臓自身を消化してしまうことにより、膵臓やその他の臓器に炎症や障害を起こす病気です。軽い症状のものから、多臓器に渡る重症のものまであり、最悪の場合、死に至る非常に怖い病気です。急性膵炎の原因はアルコールや胆石症と言われています。特にアルコールがその大きな要因と言われていますが、常習的にお酒を飲んでいる人の発症率は1%以下のため、その発生原理はまだはっきり解明していません。発症者は年間約2万人で、男性は女性の2倍の発症率となっています。

急性膵炎の症状の現れ方

急性膵炎で最も多い症状は上腹部の痛みです。その場所はみぞおちから左上腹部で、場合によっては背中にも痛みが広がります。痛みの程度は軽い鈍痛から、我慢できないほどの激痛まで様々で、吐き気、嘔吐、腹部膨満感、食欲不振、発熱などを伴なうこともあります。吐き気は何時間も続くことがあり、吐いても腹痛は治りません。症状の現れ方としては、何日もかけて徐々に出てくることもありますが、突然現れることもあります。また、その痛みが知らないうちに消えてしまう場合もあります。そして、痛みに対する感受性が低い高齢者や合併症を起こしている重症の患者さんは、腹痛を訴えないこともあって、これを「無痛性急性膵炎」と呼んでいます。
なので、腹痛の程度と膵炎の重症度には相関はありません。痛みや吐き気などの症状の多くは食後(特に油っこい食事を摂ったあと)や大量に飲酒をした数時間後に突然現れます。これらの腹痛や背中の痛みは、知らないうちになくなってしまうこともありますが、なくなったからといって軽症というわけではなく、時間経過と共に重症になることもありますので、強い上腹部痛や背中の痛みが突然起こったらすぐに受診をするようにしましょう。

急性膵炎の治療

一般的な急性膵炎の治療は、膵臓を休ませ安静に保つことが基本となります。食事や水分は膵液の分泌を促して膵炎を悪化させることになるので、治療初期は絶食・絶飲となり、もちろん水も飲めません。食事や水分が摂れない間は、電解質(ナトリウム)を含む水分や栄養分を点滴で補給し、膵臓が自己消化するのを抑えるために、タンパク質分解酵素阻害薬を投与します。
このような治療によって軽症や中等症の急性膵炎の殆どは回復していきます。重症の急性膵炎の場合には上記の基本的な治療の他に、障害が引き起こされている臓器や合併症に対する治療が行われます。急性膵炎の症状かもと思ったら食事や水分をとると症状が急激に悪化する場合があるので医師の診察をうける前は飲み食いを控えておくのが賢明です。急性膵炎は怖い病気ですが、軽症の場合は適切な治療をすれば完全に回復して膵臓の機能にも障害を残すことはほとんどありません。

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